高校選手権のサッカーはダメなのか?

第99回高校サッカー選手権大会は青森山田高校有利の下馬評を覆して山梨学院高校の優勝で幕を閉じました

解説も青森山田寄りだった気がします

山梨学院高校は選手、監督、コーチ、スタッフ 一丸となり見事な優勝でした

そんな中、キングカズのお兄さん 三浦泰年さんがこんな記事を書いていました

【三浦泰年の情熱地泰】ハッキリ言って高校選手権決勝は面白くなかった…僕が正直にそう言おうと思うワケ
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=84928

実はJ下部や強豪クラブのパパたちとも同じ話をしていました

記事にもあるように、決勝の両校は相手に勝つためにあらゆる手を尽くしていたと思う
しかし、サッカー自体で勝つために工夫されていたかというところだ

 

目の前の相手に勝利すること

長男が昨年の夏 強豪高校の練習会に呼ばれゲームや対外試合にも入れてもらった時のこと。チームの監督から『後ろに戻さない!!』と何度も言われた

一度後ろに預けもう一度動き直したり、サイドを変えるパスは前に仕掛けることと同等の選択肢じゃ無いように聞こえた

練習後長男と帰りの車で
なんで戻したの?と聞いたら
自分でいくより、あの先輩の方がいい位置にいたから
と説明していた

以前 エコノメソッドのトップエリートキャンプでスペインのコーチは
『ボールを奪われない!ダメなら何度もやり直す!』
無理に仕掛けると、プレーを止め 『空いているスペースが見えていたか?、なぜそこより可能性の低い選択をしたか』判断について徹底的に説明をしていた

おそらくこれは高校サッカーではダメなんだろう

現に他の先輩たちも フリーの選手へのパスより『自分で行けるところまで行く』ことが優先で、周りも『やりきれ!』と声をかける

今年の高校サッカー選手権決勝、山梨学院の守備には大きな穴が行くとも空いていた。しかし青森山田はそこを狙わず前へ前へ進めていった

何度か空いたスペースにボールが入っても山梨学院は持ち前の運動量で走りカバーする。
その壁をこじ開ける青森山田。そんな構図だった

J下部の試合では前が詰まったらサイドを変えるのが常識
無理に攻めてボールをロストすることは避ける

今年の高校選手権決勝を見て 周りのパパたちは揃って
「なんで楽な方から攻めないんだろう」と言っていた

 

パスの本数の違い

上記は1試合あたりのパス本数のグラフである

データはFat Mighty Systemsのサイトから引用
選手権は準々決勝まで80分のため90分に、決勝は延長の時間を抜いた90分になるよう数字を合わせている

こう見てみると
青森山田はパスが多いように見えてもJリーグ平均の65%ほどしかない
Jリーグ平均に近いのは帝京長岡、帝京大可児、昌平高校

優勝した山梨学院高校のパスの本数の少なさが際立つ
また矢板中央は青森山田との準決勝1試合のデータだが同じくパスの本数が非常に少ない

J下部と中体連は別のスポーツ?
にも書いたように 高校サッカーもパスの本数が非常に少ないのである

ただこのデータだけで判断は難しい
決勝の山梨学院と青森山田の試合は支配率は62:38である
ボールを長く持っている方がパス総数が多くなるのは当たり前

なので、下記の通り支配率100%とした場合に比較できるようパス本数を支配率で割って比較してみた

やはり パス本数が少ない高校サッカー

90分間支配率100%の場合パス本数がどのくらいになるかの数字で比較
これをみると1試合のパス本数平均では山梨学院と青森山田は100と299の3倍であったが、同じ時間ボールを保持した場合の数字では山梨学院と青森山田は288と505、その差は1.75倍程度になる

右側 高校サッカーの数字では
パス数の多い帝京大可児、帝京長岡、昌平高校は 自陣からビルドアップ時に向きを変えながら何度かやり直す場面が見て取れた

青森山田は後方でのサイドチェンジより自分で攻撃方向を決め壁があろうとも、身体能力でブチ破るサッカー

矢板中央と山梨学院は
後方からのビルドアップのリスクを排除し早めに前線へのフィードを多用してたのが数字からも見て取れる

それでも高校サッカーのパス本数はJリーグと比べ圧倒的に少ない
最も多い帝京大可児でもJリーグ最下位の湘南の85%ほどしかパスを出していないことがわかる

 

Jリーグとの違い

国内のプロリーグのトップはJリーグである

そのJリーグと 高校選手権ベスト4のパス本数(90分,支配率100%とした場合)の平均を比べてみた

結果高校サッカーのパス本数は50%にも満たない結果となった

『プロになれば自然とパスは多くなるのでは?』

とも考え、高校サッカー以外の国内リーグとの比較もしてみた

左下は2019年4月5日プレミアリーグでの試合 C大阪U18 vs  東福岡高校でのデータ
右下は次男の柏レイソルU13のTMでのデータ

どちらも高校サッカーの倍以上、Jリーグ標準に近い数字になっています

このようにJ下部アカデミーのサッカーはプロと同じようなサッカーを日頃から行っているのです。
しかしこのやり方が強いとは限りません

昨年の現にプレミアリーグイーストは青森山田高校が優勝しています

国内ではパスが少なくても相手よりフィジカルがあれば勝ててしまいます
しかしこの先、世界に出て190cmの身体、圧倒的なスピードの外国人選手たちに対して同じやり方で勝てるのでしょうか?

 

変化が必要 声を上げることも

年に1回のトーナメント、高校サッカー選手権大会は一度負けたら終わりという特殊な大会です。そこでの結果を求めるあまりサッカーで最も重要な『工夫』が選手たちの手から取り上げられてしまっているように私は思いました

そして、選手たちがぶつかり、足がつるまで走り、涙するシーンを『美しい』と褒め称え、勝負を仕掛けずボールを回すことを『逃げ』とする風潮は日本サッカー進化の弊害になっています

最近の高校は高校サッカー選手権だけでなく、年間を通じてリーグ戦を行なっています。1年生だけのルーキーリーグも全国規模で行なっています。

今回選手権に出場したチームもリーグ戦ではもっとパスが多く選手たちが判断をしてJリーグに近いサッカーをしているチームもありました

我々親としては、高校サッカー選手権だけでなく通常のリーグも見て、先生たちと話をして子供の進路は決定した方が良いと思います

多くの高校では実績のある総監督の下、新しい知識を蓄えた優秀なコーチ(先生)が活躍しています。サッカー選手権でも普段のサッカーで戦えるようになったらユースのレベルはもっと格段に上がると思います

伸び代だらけの高校サッカーにこれからも期待していきたいと思います

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