J下部のサッカー#1 なぜ負ける?
J下部なのになぜ負ける?
次男が柏レイソルジュニアに入団し半年が経ちました
セレクションで選ばれたエリート集団は負けるはずがないと思っていました
しかしそんなことはありません
失点し地元の街クラブに負けることもあります
1-4で敗戦なんてこともありました
半年間見ていて失点パターンはほぼ同じであることに気がつきます
『GK〜DFのパスを取られてもしくはパスミスから失点』です
普通の少年団なら
「そんなとこでミスするな!」「危ないパス出すな!」「クリアしろ!」
とベンチから怒鳴り声が聞こえてくるようなシーンです
でも、ベンチから叱責、罵声はもちろん飛んできません
これはどういうことでしょう?
J下部のビルドアップ
柏レイソルを含め他のJ下部はGKからビルドアップが始まります
私が最初に驚いたのがGKのパントキックが少ない点です
GKはスロー、場合によってはキャッチしたボールを自分の足元に置いてパスを選択します。
上記が基本フォーメーションですがGKがボールを保持すると下のように選手がピッチを広く使い展開します
ペナ外サイドライン側にサイドバックとセンターバックが広がり
MFの一人は開いた中央のスペースに下がってきます
3、4番はサイドでフリーでボールを待っています
5番は中央で足元にボールを要求しています
1番GKは左右前、さらにロングキックの選択肢が与えられます
ここから相手の3つのラインを突破するビルドアップが始まります
3つのラインとはFW、MF、DFの3つです。この3つのラインに対し数的優位を作りながら1つづつ丁寧に突破してきます
① 1st Line 4vs1 相手FWを置き去りに
GKを含めたDFの3人+αでFWのチェイスを突破します
この場面、相手が1トップの場合 青4vs黄1の構図ができています
危険なエリアなので無理はしない4vs1で確実にボールを前へ運びます
GKがボールを足元に置くと相手8番はプレッシャーをかけにきます
そうなると両サイドの3、4番は楽にボールが持て相手8番のチェイスを突破し1stLineを突破できます
GKから3番にボールをだし8番が付いてきたらまたGKへ戻しやり直し、もしくは逆サイドの4番へ大きく展開なんていうことも考えられます
② 2nd Line 4vs2 中盤を釣り出し前線へ
相手FWを剥がしたあと次の2nd Lineの突破を試みます
もたもたしていると剥がした相手FWが追いかけてくるのでスムーズに次のプレイにつなげなければなりません
上記の図でな6vs3ですが局面は青4vs2です
展開が早ければ青(3,2,5の)3vs1です
このシーンでうまくラインを突破できない場合①のシーンに戻ることも考えます
先ほどより相手の数が増え難しくなりますが、ボールをロストしてもゴールまで距離があるので失点に繋がりにくいエリアです
③ 3rd Line 4vs3 ゴールへ
最後のラインを突破すればゴールです
ここでは4vs3になり、局地的な数的有利を使ったり個人のアイデンティティが必要になります
またサイドバックのオーバーラップ、インナーラップなど+αの要素もプラスされサッカーで一番楽しいシーンになります
J下部の選手たちはこの3つのラインを順番に突破しゴールを目指します
リスク排除は育成なのか?
柏レイソルU11スタート時、失点の多くは①のGK~DF間のビルドアップ時のミスから生まれていました。
しかし最近はその失点はほとんどなくなりました
半年前はパススピードが弱く相手にカットされていたようなシーンも今では問題なくボールが通ります
選手が気をつけて判断が良くなったこともありますが、この半年で選手の体が大きくなりパススピードが上がったことも大きな原因だと思います
さらに上のジュニアユースを見てみるとピッチも広くなりDF間での展開は早く、大きくなり、サイドバックには自由な時間が与えられています
勝つためには リスクを排除するのは正解です
キック力より走力の方が勝る年代での自陣付近でのボール回しは失点のリスクを多く含みます。危険を感知しクリアすることを教えるのも大切ですが、小さい時からその意識を植え付けすぎるのは如何なものかと思います
体の成長に合わせた育成とよく話を聞きますが
この半年間 柏レイソルU11の試合を見てきて
『目をつぶるミス』と『目をつぶれないミス』というのが成長過程によりあるのだと思いました
GK~DF間でパスが弱くなって相手に取られ失点するミスは柏レイソルの育成からしたら『目をつぶるミス』なのかもしれません
アイルランドのリトリートライン
アイルランドサッカー協会には9歳までリトリートラインというものが設けられています。ピッチを横に3分割する直線を2本引き、それが両チームにとってのリトリート・ラインになります
相手選手はゴールキック時とGKがボールを保持した時、リトリート・ラインの後ろまで戻らなければなりません
GKからのパスやスローガ攻撃側の選手が触れるまで、守備側の選手はリトリートラインを越えることができません
それにより攻撃側はGKからボールを繋いでいくことに慣れるようになり、現代サッカーのGK、DFからのビルドアップが自然と生まれるようになります
さらに、9歳まではキックオフではなくGKで試合が再開されます
国内の1,2年生の試合で ゴールキックを奪おうとペナルティエリアに相手が群がっているシーンは少年サッカーに携わっている人は誰しも記憶にあると思います
キック力のない低学年時のゴールキックは結構ピンチにになってします
そのため、GK以外のキック力のある選手が代わりに蹴ったり、つなぐよりサイドラインを割るように安全に蹴るなどリスクの排除が行われている
これも体が大きくなりキック力が備われば自然に解決できてしまう『目をつぶるミス』に該当します
日本もアイルランドのリトリートラインのようなルール改正により、低学年時から体の成長に合わせた正しい判断ができる土壌を作ることができるのではないでしょうか
J下部に勝つには
前線からのプレス『前プレ』は確かに有効だと思います
しかし、パススピードが速くなり体が大きくなってくる6年生の時にも同じように通用するかどうかは保証できません